患者の参加を促すためのヒントや工夫

2021年ベーシクコース課題まとめ「患者の参加を促す」

2021年のベーシックコースでは Shared Decision Making(SDM)の構成要素のうち、最初の重要事項でもある「患者の参加を促す」というポイントについて、ディスカッションを行いました。
SDM に基づく療法選択を進めるには、そのプロセスへの患者の参加が不可欠です。しかし、腎代替療法選択の場面において「透析だけはしたくない」「まだ透析の話は考えたくない」と言う患者と遭遇することも少なくありません。
そのような場面で、患者に話し合いに参加を促すためのヒントや工夫について、セミナーで抽出された意見を紹介します。

(腎臓病 SDM セミナー ベーシックコース ~実践編~ グループディスカッション・アンケートより一部抜粋・改編)

  • まずは思いを聴き信頼関係を築く
  • 傾聴から始めて、患者について深く知る
  • 患者背景を知るために雑談を交えながら時間をかけて傾聴する
  • 雑談や患者の思いをとことん聴く
  • 患者の症状や困っていることから話を引き出す
  • 話を聞きたくないと感じているときには無理に進めず、聴くことを優先する
  • 今の状態をどう理解しているか確認する
  • 患者の生活背景を詳しく聴取する
  • 仕事や趣味、何を優先したいのかを知る
  • 社会的、経済的な状況についても聞き取り配慮する
  • 拒否の原因を突き止める(多くは不理解・知識不足)
  • 患者の治療に対するイメージを聴いて理解する
  • 患者の抱える問題点や透析に関するネガティブイメージを抽出し対処法を考えていく
  • 家族はどのように受け止めているのかも本人に尋ねてみる
  • 家族と本人の思いの相違を確認する
  • 保存期の治療に対する患者の努力・姿勢を認める
  • 患者の個別の事情を軽視しない
  • 患者のこれまでの人生経過を踏まえ、今後のライフプランも考えていく
  • 患者の思考の整理の手伝い
  • できていることを褒めて簡単な目標を立て、患者自から治療に取り組めるように工夫する
  • 前向きになれない気持ちに寄り添う声かけをする。
  • ともに協力していきたいことを伝える
  • 腎代替療法についていろいろな選択肢があることを説明し、プラスのイメージを
    持ってもらうように工夫する
  • 透析をしてもやりたいことをあきらめなくてよいのだ、ということを知ってもらう
  • 透析は人生の終わりではないということをきちんと説明する
  • 透析は目的でなく、自宅で生活していくための手段であることを強調する
  • 導入後の生活のイメージを伝えていく
  • 実例を話してみる
  • ピアラーニング、経験者(患者)からの情報提供
  • 治療について自分事として考えられるよう具体的にイメージしてもらう
  • 患者個々の役割、生きがいを継続していけるよう、それぞれの療法を選択した場合に
    どのように生活が変化するのかを具体的に話し合う
  • 医療者が伝えたことが正しく理解できているか確認していく、オープンクエッションを使用する
  • 透析しながらの生活がイメージ出来るか、何が支障になりそうかを聞く
  • 実際の機器をみてもらう
  • DVD などのツールを用いる
  • パンフレットに基づき患者の日常生活を一緒に話していく
  • 家族も一緒に話し合いを行う
  • 家族のいない患者にはより丁寧に多職種で関わる
  • どの療法が患者にとって最適か患者と多職種で一緒に考える
  • 多職種で情報共有しながら、患者の思いを聴く時間をつくる
  • 多職種で情報共有し患者に寄り添う。信頼関係を構築しコーディネートをする
  • 早期からの介入
  • 時間をかけ回数を重ねる
  • すぐに決定せず、患者に考える時間をもたせる
  • 家族の参加、傾聴など、短い時間で関係性を構築させる工夫が必要
  • 外来だけでは時間も体制的にも難しいので、教育入院をしてもらい、時間をかける
  • 嫌なことから言わない
  • 話しやすい雰囲気作り
  • 話したがらない患者や家族に対しては本題の前に世間話をして、リラックスできる雰囲気を作る
  • これからの人生がより良いものになるよう共に考え支えていきたいので、私たちを利用して欲しいと伝える
  • 大切な話なので、立ち入ったことも伺うことがあると前置きする
  • 雑談・日々の会話から情報を得る
  • 必ず全員に、声をかけて、目を見て話す。黙っている間は、ずっと待つ。疲れていないか表情などを見る。
  • 周りに透析をしている人がいるか、どのような知識があるか聞く。間違った情報を持つ人もおり正しい情報を伝える。
  • ①話をよく聞く→②治療限界についての謝罪から入る:腎不全という病気を薬剤の注射や点滴、
    手術などで治癒させることはまだできない。IPS 細胞などの先進的な再生医療の研究はされているものの、
    まだ確立されていない。→しかし、③透析も移植も治療法として進歩している、透析導入前移植や家庭でできる血液透析、
    自動腹膜交換装置などもある進歩している治療であることを伝える。

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